書評|マーケティングジャーニー

カモメ

「ダイレクトマーケティング」「マインドマップ」等を日本に広めたカリスママーケッターの神田昌典さんの新書(初版2020.4.8)です。これは変革の時代のマーケティング内容が盛り沢山のかなりお買い得な本です。

まず、本書冒頭「はじめに」では、コロナ禍により、この後のビジネス、マーケットがどうなっていくかの予測が書かれており、本編内容では、近年の中小企業の成功事例がいくつか紹介されています。

コロナ後のビジネスについては2点書かれています。まず、トランプ大統領が象徴的に取組んでいるように反グローバリズムが進み、周りとの壁を作っていく流れがある。それによってローカルの伝統が見直される。しかし、そのローカルの伝統や良いところは結局壁を越え、クラウドを通じてグローバルに広がっていく。これは、星野リゾートの代表が提唱している、自宅から1キロ未満の地域の魅力を再発見する「マイクロツーリズム」にも通じるところがありますね。

もう一つは、デジタル変革加速の流れ。人が対面で行うように規制、制限されていたあらゆる活動がデジタルで済ませられるようなビジネス環境整備が加速する。年間に休みが何日あっても、社員が一人も出社しなくても、成長できるビジネスモデル作りに挑戦していく会社が勝者となる。コロナきっかけで「zoom」で会議(飲み会♡)をした人は多いんではないでしょうか。その他、「印鑑文化」も騒がれていましたね。そんなレベルではなくオンライン上ですべてが解決する時代が迫っているかもしれません。

以降は、いくつかの中小企業の成功事例を紹介しています。

1つ目は、埼玉県にあるホテルグリーンコア。既成概念をとっぱらった「ベットのないビジネスホテル」。
部屋は、素足で過ごせるフローリングの床の真ん中に掘りごたつ式の机があるだけ。眠くなったら、机を片付けて掘りごたつの穴を埋め、布団を敷く。寝たいときは面倒ですが、この形状にしたことでたくさんのメリットが生まれました。

まず、部屋を柔軟に使えること。机で仕事をしてもいいし、出張仲間が集まって鍋を囲んでもいい。部屋で飲み会をすることで、近隣の仕出し屋さんの売上が上がったとか。さらに昼間は、小さな子供を気兼ねなく遊ばせることができるので、ママ会が開催される。近隣住民が昼間に使うようになり、新たなニーズ発掘となりました。机を含む多くの設備が段ボールで出来ており、軽くて移動させやすくコストも低い。リサイクル率は80%を超え環境にもいい。地方都市にありながら稼働率92%だそうです。

2つ目です。「M&A事業者が、結婚紹介業」。宮城県仙台市を拠点とした当事業者は、地銀と手を組み事業承継問題を解決すべくM&A事業を行っていたところ、中小企業の社長から「後継者はいても結婚相手がいない」という悩みをよく聞いたそうです。結婚相手がいないとなれば、単純に相手がいないという心配と、その次の代がいないという次の承継問題も出てきます。そこで、地銀ネットワークを利用した結婚紹介事業を思いついたそうです。はじめは地銀頭取に「結婚紹介事業」を起ち上げたいと言ったところ、笑われたそうですが、徐々に真剣に耳を傾けるようになり、今では全国100の地銀と提携する巨大事業となっているそうです。

紹介させていただいたのはごく一部、10%くらいです。その他興味深い内容が盛り沢山ですのでぜひご一読を!

著者は、本書を中学生、高校生にも読んでほしいという思いを込めて書かれたそうです。30年ぶりの大改革といわれる、高校の学習指導要領には、「変化に積極的に向き合い」「複雑な状況変化の中で目的を再構築することができる」等の言葉が入っているようです。難しい時代になりましたね。
まずもって大人である私がこの変化を積極的に、受入れ、楽しみ、行動していかなければいけないですね、、。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。