「営業はいらない」(出版 SB クリエイティブ 初版2020/2/15)。著者の三戸政和氏はソフトバンク・インベストメントでベンチャーキャピタリストとして活動した後、兵庫県議会議員に当選し行政の活動なども経験されています。著書に「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」があり16万部のベストセラーとなっています。
本書は、まず「営業がいらない時代」が忍び寄っているという事実に関する事柄と、そんな時代に「現在の営業マンはどう生きるべきか」について書かれています。
郵便局の保険押し売り問題をはじめ、スルガ銀行や証券会社の大幅赤字問題等すでにノルマを課した、モーレツ社員による営業には限界がきています。過去「大量生産、大量消費」の時代背景により、多くの営業人員を雇い入れてしまい余剰人員維持のためビジネスモデルの転換に対応しきれない状況が続いています。
Amazonにより、BtoCにもたらされた変革は皆さんご周知であると思いますが、すでにBtoBにおける「購買」や「ルートセールス」もテクノロジーに置き換わり始めています。例えば、MRは医師に薬品の情報提供を行い薬を買ってもらうのが仕事ですが、「MR君」というWebサービスにより医師や病院の特性をデータベース化し、それぞれに適切な情報提供が可能になっており、現実2013年度には日本に65,000人いたMRは2018年度には60,000人を割っています。その他間接材卸業者の営業は「モノタロウ」というBtoBにおけるAmazonのようなWebサービスに代替されていることなど、営業マンはテクノロジーに置き換わりつつあります。
また、現在ではアメリカのセールスフォースドットコム社がクラウドサービスで急速に広めている「セールステック」が発達し、マーケティングも自動化され、見込み客をデータから読み取り、営業につなげさらに一度獲得した顧客管理についても最適化する仕組みができてきいます。
では、営業マンはどこに向かえばよいのでしょうか。一つは、セールステックを使いこなし自らが営業の成果を上げる。二つ目はセールステックを使いこなすチームの指揮官になること。どちらとも今のテクノロジーをいち早く理解することが必要ですね。三つ目は経営者になること。経営学の権威である ピータードラッカー は、トップマネジメントに必要な性格として、「考える人」「行動する人」「人間的な人」「表に立つ人」を挙げています。営業マンは経営者に必要な資質を持っているということです。最後の章では、営業マンが経営者として勝ちにいくための著者独自の戦略他さまざまなトピックスが書かれてあります。
本書は、私自身かなり衝撃的な内容も多く、ここには書ききれない程たくさんの興味深いトピックスが書かれてあります。アメリカを中心に世界はテクノロジーを活用して「営業不要」で成功し始めているんですね。第一章から惹きつけられ、最後まであっという間に読み終えてしまいました。
先日私の家に太陽光発電の営業マンが来ました。アポなし飛び込み営業ですね。インターフォン越しで必要ないといっても「話だけでも」と頑張っておられたのですが、、。営業は「する側」も「される側」も70%以上は無駄があると感じているというデータがあるらしいですよ。テクノロジーの理解は必須になっていくんでしょうね。