90日で成果をだすDX入門|須藤憲司

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90日で成果をだす DX(デジタルトランスフォーメーション)入門 (日本経済新聞出版)

DX(デジタルトランスフォーメーション)って一体なに!?

経済産業省もDXについてのレポートを発表しています。

その中で、DXにまつわる課題を克服しなければ、2025年以降12兆円もの経済損失が生じる恐れがあると記載されています(詳しくは経産省サイト)。国としても大きな取組み課題として捉えていますね。

本書ではDXの定義を、「デジタルを活用して、圧倒的に優れた顧客体験を提供し、事業を成長させること」としています。

そういわれましても、、。という感じですので、いくつか日本企業のDX事例を見てみましょう!

SOMPO ひまわり生命保険
当社は、「健康応援企業」として中期ビジョンを打ち出し、さまざまなアプリの連携やモバイルファーストの対応に着手し、健康情報アプリ、ダイエットアプリ、お散歩アプリなどを展開。

今後は、アプリを利用した顧客の情報を本来の強みである営業代理店などのリアルの場と接続し、アプリの利用データに応じて保険を選びやすくしたり、保険料を調整したりする施策を打つことが可能になりました。

単なるEC化とは異なり、データを中心に、提供すべき顧客体験を変えていることに注目です。

ネスレ日本
世界最大の食料・飲料メーカーであるネスレの日本法人。以前までは基本的に製品を作った後に卸屋さんを通して小売店に陳列し、消費者が購入する流れでした。

しかし、「バリスタ デュオ プラス」は、オフィスを中心に、カートリッジを定期的に購入することでマシンを無料使用できる最新機種で、利用料金はキャッシュレス対応が可能。
さらに、「誰が、いつ、何を」飲んでいるなどの飲用データを取得でき、消費者の理解をより深めることができ、新たなビジネス展開のために役立てることができる。

この例では、デジタルの潮流キーワード「サブスクリプション」と「D2C」に成功しています。「D2C」は、メーカー直販のことですね。中間のコストカットはもちろん、メーカーがお客様と直接関わり、お客様を知っていく。テクノロジーの発達で、こんなことまでできるようになりました。

他にも興味深い例が掲載されていますが、文字数の都合上割愛します。

では、なぜ今DXが必要なのでしょうか?

一つは、これまでの社内の既存システムは、社内でしかアクセスできないなどの制約がありました。

ITの普及により、クラウドサービスなどでビジネスチャットツールや経費精算などの便利なソフトウェアが浸透してきているものの、古いシステムを捨てきれず改修を繰り返し、そのシステムが肥大、複雑化しているため、業務プロセスそのものをDX化していかないと生産性を高めにくくなってきています。

もう一つは、GAFAをはじめとしたデジタルプラットフォーマー達が、次々に異業種に参入してきており、自身の商売の競争原理が破壊されてしまうとの危機感があることでしょう。

AmazonはECだけだったのに、リアル店舗に参入。アップルはコンテンツのサブスクに参入してきました。恐ろしいですね。

そんな中で、どうしたらDXを成功させることができるのでしょうか。

ひとつに、DXは手段であり、目的ではありません。DXで何を成し遂げたいかをまず明確にしておくことです。

もう一つは、社内の影響力のある実力者のコミットメントです。既存のシステム、ビジネスモデルを変えるとき、決裁が必要になります。その決裁者が率先して学び動かなければ進みません。

さらにもう一つ。「小さく、素早く」を実行し、仮説検証を繰り返していく。

既存システムを変えることは、責任問題もあり誰もやりたがりません。できるところから試作をどんどんやってみることです。

さあ、動き出しましょう!

本書はその他、デジタルキーワードの紹介や、90日DX戦略マップというワークショップツールの実践方法など盛りだくさんの内容です。
DXが気になっている方はぜひご一読してみて下さい。読み物としても面白いトピックスがたくさん掲載されています。

おわりに

1900年、ニューヨーク5番街では馬車が街中を走っていました。1913年、馬車は走っていません。街中自動車が走っています。それまで馬車関連のビジネスをしていた人はどうなったのでしょうか。10年で世界は変わります。

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